学校教育法における学校事務職員の職務規定

 学校教育法第37条第14項に、「事務職員は、事務をつかさどる」とあります。つかさどる(司る・掌る)とは、「職務として担当すること・担うこと」と辞書にあります。したがって、学校事務職員の職務とは「学校の事務を担当すること・学校の事務を担うこと」と言えると思います。もう少し理解を深めるために、前後の条文をいくつか見てみましょう。

 37条4項には「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」とあります。ここから、まず、校長が「校務」をつかさどっていることがわかります。校務とは、学校で行われているあらゆる業務の総体を指すと考えられます。したがって、「校長の職務は学校で行われているあらゆる業務を担当すること・担うこと」と言えると思います。ここで少し注意したいことは、当然のことですが、校長が全ての業務を「直接」担当する訳ではないということです。もちろん、たとえば決裁をするとか、朝礼で話をするとかのように、校長が直接担当する業務もあります。しかし、学校の多くの業務は、直接担当しているのは教員や学校事務職員などの教職員で、校長は教職員を通じて「間接的に」担当しています。このことから「つかさどる」の意味を丁寧に言うと、「直接・間接的に担当する・担う」ということになると思います。「間接的に担当する」の言い換えとしては、場合によっては「取りまとめる」「調整する」「コーディネートする」などが相応しいこともあると思いますが、一番汎用性が高いと思われることから、「取り仕切る」という言葉をわたしはよく使います。校長が校務をつかさどるというのは、「校長は、学校で行われているあらゆる業務について、直接担当している教職員を通じて、取り仕切る」ということなのです。

 7項には「教頭は、校長(副校長を置く小学校にあっては、校長及び副校長)を助け、校務を整理し、及び必要に応じ教育をつかさどる。」とあります。11項には「教諭は、教育をつかさどる。」とあります。教頭の職務が、校長を助けることにあること、校務を整理することにあることが示されています。また、教諭と同じように教育を担当することも示されています。4項(校長の職務)・7項(教頭の職務)・11項(教員の職務)・14項(事務職員の職務)を並べてみると、「校務」の中身が「教育」と「事務」であることがわかります。教頭や教員は「教育」について取り仕切り、事務職員は「事務」について取り仕切り、その両方(=校務)を一括して校長が取り仕切るという学校の仕組みがわかります。

 教員が取り仕切る「教育」の内容である「授業をする」「授業を考える」「宿題を出す」「生徒指導」「相談に乗る」などの各業務は、「指導業務」という言葉で一括りにできます。同じように学校事務職員が取り仕切る「事務」の内容である「施設管理」「会計」「就学保障」「学校評価」などの各業務を、このサイトでは「学校運営業務」と一括りしています。学校教育法37条の教育=「指導業務」、学校教育法37条の事務=「学校運営業務」ということです。

 以上により、学校教育法から、学校事務職員の職務は「学校運営業務(=指導以外の学校業務)について取り仕切ること」であることがわかります。


 2017年の学校教育法の一部改正で、学校事務職員の職務規定が変更された際に出された、文部科学事務次官通知が、学校事務職員の職務について触れています。 そのことについては、『文部科学事務次官通知における学校事務職員の職務』に記しています。


 2019年に出された中教審答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」が、第4章・第5章で、学校事務職員の職務について触れています。そのことについては、『中教審答申における学校事務職員の職務』に記しています。


 2020年に文科省は「事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)」を出して、その別表で標準職務の表の例を示しています。そのことについては、『学校事務職員の職務の明確化通知』に記しています。

学校事務職員がより上手く学校運営業務を回すことで、学校は子どもたちにより充実した教育を提供することができる !

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