学校事務の共同実施・共同学校事務室の活用方法
「学校事務の共同実施」や「共同学校事務室」と言われる、学校事務職員が支え合い高め合う制度の、効果的な活用方法やあるべき活動内容について記していきます。『学校事務の共同実施・共同学校事務室の形』で説明したように、市町村によって規模や名称は様々ですが最も大事で制度のベースである「小」グループの活用方法やあるべき活動内容について説明し、その後に「小」グループをアシストするための「中」グループ・「大」グループの活用方法ついて説明します。
『学校事務の共同実施・共同学校事務室の目的』に記しているように、「学校事務の共同実施」や「共同学校事務室」と言われる、学校事務職員が支え合い高め合う制度の目的は、どの学校でも学校事務職員が学校運営業務を効果的に回したり進めたりできるようにすることにあります。 したがって、「小」グループの活動は、知識や経験が少なかったり、苦手な業務を回すのに苦労していたり、気力や体力がすぐれなかったり、出張や休暇で職場を離れないといけなかったりして、支援が必要な学校事務職員を支援することが中心になります。日々職務に励む中で、イレギュラーに出てくるわからないことや相談ごとについては、随時連絡し合い、教え合い助け合っていくことになります。電話やメール、ウェブ会議システムや逓送など便利なものがたくさんありますし、必要であれば学校訪問もすれば良いですね。「小」グループのリーダーが「教える人」「助ける人」で、リーダー以外のメンバーが「助けられる人」「教えられる人」、と「小」グループ内で役割を固定して考える必要はありません。メンバー同士で教え合ったり助け合ったりしても良いし、リーダーがメンバーから教えてもらうことがあっても全然問題ありません。ただし、グループで誰かをアシストする体制を組むというときには、メンバーのそれぞれの学校での状況等を勘案して、「小」グループ内でアシスト割合を考えたりする必要があり、そのようなときにはリーダーにはメンバーの意見も聞きながら適切に判断することが求められます。
毎日働く中で出てくるイレギュラーな質問や相談ごとを解消させていくこととは別に、計画的・定期的に支援をする機会を設定することも有用です。メンバー全員が支援の必要が少ない「小」グループであれば、月に1回1時間程度の会議を持つだけで十分かもしれませんが、たとえばメンバーが初任者であれば、毎朝連絡するとか、曜日を決めて学校を訪問するとか、機会や時間が多く必要なこともあると思います。効率良く効果的に支援ができるように、必要に応じて必要なだけ支援の機会を作ることが大事と思います。少なくとも月に1回は会議を持つのが有用である理由は以下の通りです。まず定番の学校運営業務であっても、メンバーの誰かが業務を回す上での新しい工夫を編み出している可能性があります。そこで、定番の学校運営業務についても年間で1回は交流できるように月ごとに対象業務を割り振り、簡単にそれぞれがどのように業務を回しているのか進めているのかを報告し合います。必要に応じて各自は仲間の工夫を自分のものにできることになります。詳しく聞きたかったら会議とは別に支援を求めることもできます。これによって、全員がどの業務についてもその時点で最も効率良い業務の進め方回し方にアップデートすることができます。また、定番でない業務についても月に1回の会議で、自分が取り組んでいること、取り組む前段階として考えていること準備していること、そこまでにも至っていないが学校で気にしていること、について出し合い交流することは有用です。学校は毎日出てくる新しい問題や課題に対応し続けていく必要があり、学校事務職員は新しく出てくる学校の課題に対応する形で学校運営業務を回したり進めたりする必要があります。誰かが始めた新しい取り組みの報告に、別の誰かが助言をしてくれることがあります。誰かが始めた新しい取り組みの報告は、それを聞いた誰かが勤務校で何かに取り組むきっかけになることもあります。取り組みに至らない思考や気づきであっても、それに誰かがアイデアを提供してくれたり、思考や気づきを聞いた人が勤務校の課題を考えるきっかけになったりします。交流自体が支援になることもありますし、交流がきっかけで支援を求めたり支援を申し出たりすることもあります。メンバー全員が高い職務遂行能力を有しているとしても、月に1回は会議を持って交流する必要がある理由は以上です。
支援が必要であることが明らかになるのは、質問や相談だけがきっかけではありません。知識や経験が少ないと、そもそも業務を上手く回せているか進められているのかどうかがわからないことがあります。また、業務を上手く回せていないことを直視しなかったり、隠したりごまかしたりしてしまうこともあります。そこでリーダーは、メンバーが支援が必要な状況にないか主体的に把握するよう努める必要があります。会議での発言や様子からわかることもありますし、個別に声を掛けて話をしてわかることもあります。メンバーの学校の教員や管理職と話をしてわかることもありますし、帳簿やPCを見に行ってわかることもあります。一緒に執務することでわかることもあります。確認も支援の一環ですから、必要な手段を必要なだけ講じて、柔軟に効率良く効果が出るように実施することは、リーダーのリーダーシップの発揮しどころと言えます。褒めることも、注意することも、育てることも、励ますことも、一緒に考えることも、支援の一環です。「小」グループの学校事務職員が支え合い高め合い、どの学校でも学校事務職員が学校運営業務を効果的に回したり進めたりできるように、メンバーの執務能力を向上させたり補ったりする、「小」グループの活用方法やあるべき内容の簡単な説明は以上です。
「中」グループ「大」グループの役割は、「小」グループをアシストすることです。上に記したように、効率良く効果的に「小」グループが活動をするには、グループはメンバーの能力や状況に合わせて柔軟に運営する必要があり、リーダーの調整や采配といったリーダーシップが大変重要です。リーダーが判断に悩むこともありますし、誤った判断をすることもあります。そういうときのために、「中」グループ「大」グループのリーダーは存在します。「小」グループのリーダーは積極的に「中」グループ「大」グループのリーダーに相談したり支援を求めたりするべきですし、「中」グループ「大」グループのリーダーは、「小」グループのリーダーが支援が必要な状態にないか主体的に把握に努めるべきです。「大」グループは市町村の学校事務職員集団全体ですから、市町村の学校事務職員全体で何かを決めるとかといった機能を持たせていることもあると思いますが、最も大事な役割は「小」グループの活動のアシストです。
以上が、「学校事務の共同実施」や「共同学校事務室」と言われる、学校事務職員が支え合い高め合う制度の、効果的な活用方法やあるべき活動内容の概要です。皆さんの市町村の「学校事務の共同実施」や「共同学校事務室」の活用方法や活動内容とは異なるという印象を持った方もおられるかもしれません。ぜひ、皆さんの市町村の「学校事務の共同実施」や「共同学校事務室」が、どの学校でも学校事務職員が学校運営業務を効果的に回したり進めたりできるようにするという目的を果たせているのか、確認してみてください。皆さんの市町村の「学校事務の共同実施」や「共同学校事務室」と言われる学校事務職員が支え合い高め合う制度が、どの学校でも学校事務職員が学校運営業務を効果的に回したり進めたりできるようにするという目的を十分には果たせていないようでしたら、ぜひここに記した制度の活用方法や活動内容を試してみてください。きっと効果が上がると思います。
「学校事務の共同実施」や「共同学校事務室」と言われる、学校事務職員が支え合い高め合う制度の効果的な活用方法や活動内容がイメージできる資料については、『学校事務の共同実施・共同学校事務室の資料集』に掲載しています。
「学校事務の共同実施」や「共同学校事務室」と言われる、学校事務職員が支え合い高め合う制度の目的が、どの学校でも学校事務職員が学校運営業務を効果的に回せるようにすることにあることについての説明は、『学校事務の共同実施・共同学校事務室の目的』に記しています。
「学校事務の共同実施」や「共同学校事務室」と言われる、学校事務職員が支え合い高め合う制度の形については『学校事務の共同実施・共同学校事務室の形』に記しています。